Japanese citations of 根深い
トンボの小屋は、下湯島村から一里の、切立ったような山の半腹にあるので、根深き 岩の裾を切込み、僅かに半坪ほど食い込ましてあとの半坪は虚空に突出してある。 Because the Tonbo hut is one li from lower Yujima, half-way up the steeply towering mountain, cutting deep into the feet of deep rooted boulders, it barely eats into half a tsubo , and half a tsubo of the back projects into the empty sky.
1916 , 内田魯庵 , 二葉亭余談 :
当時の文章教育というのは古文の摸倣であって、山陽が項羽本紀を数百遍反覆して一章一句を尽く暗記したというような教訓が根深く 頭に染込んでいて、この根深い因襲を根本から剿絶する事が容易でなかった。 (please add an English translation of this quotation)
1918 , 伊藤野枝 , 転機 :
ほんの些細なことからでも考え出せば人間の生活の悉ゆる方面に力強く、根深く 喰い込み枝葉を茂げらしている誤謬が、自分達の僅かな力で、どうあがいたところで、とても揺ぎもするものではないという絶望のドン底に突き落される。 (please add an English translation of this quotation)
1919 , 北原白秋 , 神童の死 :
ただ同じ人間の私から見て、思はずハツとしたのは、あのあどけない子供の無意識な端的行為の中に、既に人間通有の惨虐性が根深く 潛在してゐた、戦慄するべき一事である。 (please add an English translation of this quotation)
1919 , 宮本百合子 , C先生への手紙 :
或一民族の健康状態が、その民族の国家的境遇並に文明の程度と重大な相対的関係に在る如く、女性の生理的健康の差異は、其の根深い 原因を彼女等の所有する精神的歴史の裡に持って居るのでございます。 (please add an English translation of this quotation)
1922 , 豊島与志雄 , 幻の彼方 :
その秋子の腹の中に、何とも云えないものが――胎児とは分っているが、実感としては仄暗い力強い根深い 不気味な、凡てを押しのけてむくむくと脹れてくる生命が――宿ってるのだ。 (please add an English translation of this quotation)
1923 , 折口信夫 , 桃の伝説 :
かうした桃の神秘の力を信ずる宗教をもつ人々が、支那或は朝鮮から群をなして渡来し、其行ふところを、進歩した珍らしい風習として、まねる事が流行したとすれば、我々が考へるよりも根深く 、汎く行はれ亘つたものと思はれる。 (please add an English translation of this quotation)
それだけに震災の我我作家に与へる影響はさほど根深く はないであらう。 It seems due to precisely that the influence which the earthquake confers on us authors is not so deep rooted .
1923 , 横光利一 , マルクスの審判 :
してみれば、被告の怒りも、別に、心に覚えのないことをあるやうに云はれたときの根深い 怒りとも思はれなくなつて来て、結局判事にはまた以前の疑ひが凝ひとしてつきまとつて来た。 (please add an English translation of this quotation)
1924 , 豊島与志雄 , 人間繁栄 :
そして津田洋造は、その可愛いい楽天的冒険家たる妻のために、善良なる良人となろうかと、一寸思い直しかけたが、失恋の痛手や江ノ島の橋の感銘は案外根深い もので、新妻に対する彼の愛情を妨げると共に、彼を初めの意向に立還らしてしまった。 (please add an English translation of this quotation)
1926 , 幸田露伴 , 淡島寒月氏 :
文學に於ても矢張り其氣味があつて、根深く 手を染めてゐれば、多數で無いにせよ、必ずや一部二部は此人で無ければ書けないといふやうなものを留めたのに相違無いのに、西鶴ばりの「百美人」だのなんだのといふのを一寸書いた位で終つて仕舞つたのは、それも却つて其一生が幸福で有つた證據で芽出度には相違無いが、少し殘りをしい氣がする。 (please add an English translation of this quotation)
1928 , 折口信夫 , 神道に現れた民族論理 :
私は此を以て、祝詞の信仰が、日本人の頭脳に根深く 這入つてゐる結果である、と見るのであつて、よし個々の作者には其処までの確かな意識がないとしても、全体として、其処に源を発してゐる事は、争はれないと思ふ。 (please add an English translation of this quotation)
1934 , 宮本百合子 , 問に答えて :
それならばどういう力で、作家はそのような強い生活の搦み合いの姿、そこで生き死にする人間の心持ちを再現するかといえば、それは一つの事件の現われ方をとおして、その現象は根本的にどんな動機、社会的な相互関係の上に起っているかということを今日の世の中の現実の姿の中に掴んだ時初めて作品の中に、その事件の当事者さえもそのように深刻とは自覚していなかったと告白するような、根深い 社会性や社会の各層に属する人々の生活感情を反映することが出来るのであろうと思う。 (please add an English translation of this quotation)
1935 , 矢田津世子 , 父 :
それは、亡くなった母への義理だてから父の情人をこきおろす、というような単純な心から出たものではなく、何かそこに個人的な根深い ものがひそんでいるように感じられた。 (please add an English translation of this quotation)
1936 , 戸坂潤 , 思想と風俗 :
この二つのタイプは可なり根深い 対立に由来しているらしく、他の色々な対立に関係あるのだが、少なくとも思想家にも理論家にも夫々この二つのタイプの区別は見出される。 (please add an English translation of this quotation)
1947 , 三好十郎 , 廃墟(一幕) :
しかし、そうなったからって、どうなんだ? ヘッ、俺に言わせりゃマルキストなんか無邪気なもんだ、いやマルキストにしてからが、自分を動かしているものが、ほんとは、マルキシズムなんかとは縁もゆかりも無い、もっと根深い 所に有ることに気が附いていないね。 (please add an English translation of this quotation)
1950 , 豊島与志雄 , 田園の幻 :
私自身はやはり村人にとってはあくまでもよそ者であったこと、この田舎にはやはり古い伝統が根深く 残ってること、私の神経はちと田園向きでなく繊細すぎること、などである。 (please add an English translation of this quotation)