Japanese citations of 怠惰

  • 1900, 泉鏡花, 三枚続:
    と慇懃にいいながら、ばりかんを持って椅子なる客の後へ廻ったのは、日本橋人形町通の、茂った葉柳の下に、おかめ煎餅と見事な看板を出した小さな角店を曲って、突当の煉瓦の私立学校と背合せになっている紋床の親方、名を紋三郎といって大の怠惰者、若い女房があり、嬰児も出来たし、母親もあるのに、東西南北、その日その日、風の吹く方にぶらぶらと遊びに出て、思い出すまでは家に帰らず、大切な客を断るのに母親は愚痴になり、女房は泣声になる始末。
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  • 1904, 井上円了, 西航日録:
    要するに、勤倹の結果は富強となり、怠惰の結果は貧弱となるは、渡世の常則にして、動かすべからざるものなり。
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  • 1909, 泉鏡太郎, 神鑿:
    何か、自分に此の天守の主人から、手間賃の前借をして居つて、其の借を返す羽目を、投遣りに怠惰を遣り、格合な折から、少いものを煽り立つて、身代りに働かせやう気かも計られぬ。
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  • 1911, 押川春浪, 本州横断 癇癪徒歩旅行:
    怠惰者や意気地無しがドシドシ死んでしまえば、穀潰しの減るだけでも国家の為に幸福かも知れぬ。
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  • 1912, 小川未明, 夕暮の窓より:
    而して、考え、感じ、味わんがための怠惰と休息を好み、あきらめ醒めたるものゝ自殺を喜ぶ。
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  • 1914, 與謝野寛、與謝野晶子, 巴里より:
    彼等は如何なる労働にも相応の快楽のあることを知らない怠惰な婦人である。
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  • 1916, 穂積陳重, 法窓夜話:
    否、これなどは血法中ではまだ寛大な箇条というべきであって、怠惰なる者を罰するに死刑をもってするに至っては、実に思い切った酷法と謂わなければならぬ。
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  • 1917, 折口信夫, 古語復活論:
    我々の国語は、漢字の伝来の為に、どれだけ言語の怠惰性能を逞しうしてゐたか知れない程で、決して順当の発達を遂げて来たものではないのである。
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  • 1918, 菊池寛, 大島が出来る話:
    譲吉は、最初高商の秀才と云う振込みで、近藤家の世話になる事になったのだが、譲吉は秀才でないばかりか、可なり怠惰者に近い方であった。
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  • 1919, 与謝野晶子, 婦人改造の基礎的考察:
    私はそういう人たちの労働的精神を尊敬する余りに、人間の中にその精神から遠ざかっている人たちのあるのを見て、その怠惰を憎悪せずにいられませんでした。
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  • 1920, 三木清, 人生論ノート:
    私の感情はたいていの時生産的創造的であることをやめて、怠惰になり横着になつて、媚びと芝居氣に充ちた道樂をしようとする。
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  • 1921, 牧野信一, 砂浜:
    またあそこ迄戻らなければならないのか、と思ふと私の気持は急に怠惰なものに変りました。
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  • 1924, 岸田國士, 演劇一般講話:
    そこには、近代主義の溌剌にして大胆な発見もなく、「本質主義」の堅実にして純粋な創意もなく、徒らに怠惰因循空騒ぎを以て、日に日を継ぐ有様であります。
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  • 1926, 葉山嘉樹, 海に生くる人々:
    難破したり、遅航したりすれば、それはやつらの例の怠惰から来たもので、おれの方の損害の方が大きいから、それ以上の積み込みは相ならぬ、ということになれば、それも正しいのだ」小倉はきわめてまじめに、説法でもするように静かにいった。
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  • 1927, 芥川龍之介, 文芸的な、余りに文芸的な:
    僕は今日も亦明日のやうに「怠惰なる日の怠惰なる詩人」、――一人の夢想家であることを恥としない。
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  • 1931, 吉田絃二郎, 沈黙の扉:
    生の争闘を争闘せる人々の剣戟の音を聴きつゝ、私は遥かなる森の廃寺の前に立つて、老木の梢に梟の声を聴き、またはかげらふ正午の陽光を浴びつゝ怠惰な安易を貪つてゐるのではないだらうか。
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  • 1933, 豊島与志雄, 立枯れ:
    ごく平凡な好人物で、怠惰が唯一の美徳であって、そのアナーキズム的な思想も、常識的空想の一つの現われに過ぎなかったのではなかろうか。
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  • 1936, 萩原朔太郎, 定本青猫:
    とりとめもない怠惰な日和が さびしい涙をながしてゐる。
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  • 1938, 倉田百三, 青春の息の痕:
    私もあなたのことを思うときに病身ながらも、けっして怠惰になるまいと励み心地になります。
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  • 1939, 幸田露伴, 努力論:
    人の希望を破り、陽性には自暴自棄の兇惡なる思想及び擧動を發せしめ、陰性には怠惰、萎靡、悲觀、絶望觀、欲死觀等を生ぜしめ、一切の不幸を連續的に招致する。
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  • 1942, 中島敦, 光と風と夢:
    だが、何という怠惰な学生で私はあったか! ブラッキイ教授やテイト教授のことを、ひょいと思出した。
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  • 1943, 正岡容, 小説 圓朝:
    我が小圓太、圓生門にあること二ヶ月、もうその年の暮のうちには、この諺に当て嵌るような心根になってきていたといったら、人、恐らくはその怠惰薄弱心に呆れるだろう。
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  • 1945, 太宰治, お伽草紙:
    パンドラの箱の中には、疾病、恐怖、怨恨、哀愁、疑惑、嫉妬、憤怒、憎悪、呪咀、焦慮、後悔、卑屈、貪慾、虚偽、怠惰、暴行などのあらゆる不吉の妖魔がはひつてゐて、パンドラがその箱をそつとあけると同時に、羽蟻の大群の如く一斉に飛び出し、この世の隅から隅まで残るくまなくはびこるに到つたといふ事になつてゐるが、しかし、呆然たるパンドラが、うなだれて、そのからつぽの箱の底を眺めた時、その底の闇に一点の星のやうに輝いてゐる小さな宝石を見つけたといふではないか。
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  • 1946, 宮本百合子, 幸福について:
    他人から労働を強制され、自分の喜びもなにもなく、暮さなければならないという人々の大きな層があって、その上に、ごく僅かな人たちが働かないで、怠惰に安楽に暮していました。
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  • 1948, 永井隆, ロザリオの鎖:
    私どもはむしろその弱き人間性よりいずる不精と怠惰と欲情と利己心と世間的体面に災いせられて、神のみ業、諸聖人の通功の妨げをしているのではないでしょうか? 昨秋合同葬の際に私どもは神父様をはじめ多くの霊魂に誓い、天国よりのお助けをこい願いました。
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