Citations:昼寝
Japanese citations of 昼寝
- 1900, 泉鏡太郎, 高野聖:
- (誠に済みませぬがお通しなすつて下さりまし、成たけお昼寝の邪魔になりませぬやうに密と通行いたしまする。
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- 1906, 泉鏡花, 式部小路:
- 焼を起してあくる朝、おまんまを抜きにしてすぐに昼寝で、日が暮れると向うの飯屋へ食いに行って、また煽りつけた。
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- 1907, 石川啄木, 漂泊:
- 何しにツて聞くと、何しに来たのか解らないが、奥で昼寝をしてるツて、妹が君、眼を丸くして居たぜ。
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- 1908, 夏目漱石, 三四郎:
- それではきょうかぎり昼寝をやめて、活動の割り前が払えるかというと、それは困難である。
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- 1911, 押川春浪, 本州横断 癇癪徒歩旅行:
- この奮励努力すべき世の中で、ゴロゴロ昼寝などする馬鹿があるかッ! 暑い暑いと凹垂れるごときは意気地無しの骨頂じゃ。
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- 1913, 徳田秋声, 爛:
- かんかん日の当っていた後の家の亜鉛屋根に、蔭が出来て、今まで昼寝をしていた近所が、にわかに目覚める気勢がした。
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- 1914, 永井荷風, 江戸芸術論:
- 『辰巳の園』巻の二を繙けば深川妓家の二階に四、五人の女寝そべりて、或者は長々しき手紙書きし後と覚しく、長煙管にて煙草盆の火入を引寄せんとすれば、或者は昼寝の枕より顔を上げ、今や盛装して出で行かんとする朋輩の後姿を見返りたり。
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- 1916, 久米正雄, 競漕:
- 選手は昼寝をするはずであったが、それらの人々を対手に快活に話を続けた。
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- 1917, 豊島与志雄, 田原氏の犯罪:
- 先刻の感情と云うのは、彼が昼寝から覚める時に覚えた感情である。
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- 1919, 板倉勝宣, 山と雪の日記:
- ここで昼寝をすると、谷川の音が子守歌のように働いて、緑の精がまぶたを撫ててくれる。
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- 1920, 芥川龍之介, 老いたる素戔嗚尊:
- しかし幸ひ午後になると、素戔嗚が昼寝をしてゐる暇に、二人の恋人は宮を抜け出て彼の独木舟が繋いである、寂しい海辺の岩の間に、慌しい幸福を偸む事が出来た。
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- 1921, 和辻哲郎, 土下座:
- 彼が親しみを感ずることができなかったのは、こういう村でもすでに見いだすことのできる曖昧宿で、夜の仕事のために昼寝をしている二、三のだらしない女から、都会の文明の片鱗を見せたような無感動な眼を向けられた時だけでした。
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- 1923, 松本泰, P丘の殺人事件:
- 俺が帰って来るまで昼寝でもしているが可い」といいながら、手早くビアトレスに猿轡をはめて、部屋に続いた奥の寝室へ引立てた。
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- 1924, 宮本百合子, 伸子:
- 佃はそのような一日、物懶げに財布を出して、机のところで銭勘定をしたり、昼寝をしたりした。
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- 1926, 竹久夢二, 玩具の汽缶車:
- と言いますと、いままで昼寝をしていた汽缶車は眼をさまして、大儀そうに言うのでした。
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- 1927, 甲賀三郎, 支倉事件:
- 宰予と云うのは論語にもある通り昼寝をして孔子に叱られた人で、弁舌利口だったが人間は小人だった。
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- 1928, 岸田國士, 明日は天気(二場):
- 妻は、枕を持ち出して、昼寝の用意をする。
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- 1929, 薄田泣菫, 艸木虫魚:
- 日あたりのいい草の上で、今まで昼寝をしていたらしい一匹の黒猫が、起き上りざま背を円めて、大きな欠伸をするのが眼につきました。
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- 1930, 牧野信一, R漁場と都の酒場で:
- 尤も、この室は私自身が、プライベェトに借り、私が勝手に展望室と名づけてゐるのであつたから、漁場の休みにも営業にも関はりのあるわけではなかつたが、私の春愁の夢が恰も四囲に暗緑の深い帷を降して、幻想の昼寝に閉ぢ込るにふさはしい日々なのであつた。
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- 1931, 坂口安吾, 竹藪の家:
- いつぞや、空家の孤独に浸り乍ら静かな昼寝を貪らうと思ひ、埃の中へ踏み込んでみたのであるが、空洞な部屋々々に立ち籠めた重い澱みは人の生気とそぐはない廃墟のやうな過去の死臭に満ちてゐて、睡むる気持にはなれなかつた。
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- 1932, 武田麟太郎, 日本三文オペラ:
- もちろん、今までにだつて、彼女の昼寝をかき乱すものがあつたのである。
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- 1934, 菊池寛, 貞操問答:
- 来てから四日目、お茶の時間に、小さい兄妹は、お昼寝をしていたため、新子と準之助氏とだけで、お茶をのんだ。
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- 1935, 寺田寅彦, 西鶴と科学:
- また『諸国咄』の一項にも「おの/\広き世界を見ぬゆへ也」とあって、大蕪菜、大鮒、大山芋などを並べ「遠国を見ねば合点のゆかぬ物ぞかし」と駄目をおし、「むかし嵯峨のさくげん和尚の入唐あそばして後、信長公の御前にての物語に、りやうじゆせんの御池の蓮葉は、およそ一枚が二間四方ほどひらきて、此かほる風心よく、此葉の上に昼寝して涼む人あると語りたまへば、信長笑わせ給へば、云々」とあり、和尚は信長の頭脳の偏狭を嘆いたとある。
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- 1936, 北條民雄, いのちの初夜:
- 笠のように枝を厚ぼったく繁らせたその下でよく昼寝をしたことがあったが、その時の印象が、今こうして眼を閉じて物音を聞いている気持と一脈通ずるものがあるのかもしれなかった。
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- 1937, 岡本綺堂, はなしの話:
- 暑さに茹って昼寝でもしているのか、甲板に散歩の人影も多くない。
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- 1938, 島崎藤村, 新生:
- いよいよ頼んで置いた辻馬車が町の並木の側に来て、仮に纏めた荷物を送出すという前に、岸本は苦い昼寝の場所であった部屋の寝台の側へも行き、冷い壁にかかる銅版画のソクラテスの額の下へも行き、置戸棚の扉に張りつけてある大きな姿見の前へも行った。
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- 1939, 岡本かの子, 河明り:
- こんなことから話を解し始めて、私たちは市中で昼食後の昼寝時間の過ぎるのを待った。
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- 1940, 田中英光, オリンポスの果実:
- なかでも、わけて愉しかったのは、昼食から三時までの練習休みの時間、大抵のひとが暑さにかまけて、昼寝でもしているか、涼しい船室を選んで麻雀でも闘わしているのに、ぼくは炎熱で溶けるような甲板の上ででも、あなたや内田さんと、デッキ・ゴルフや、シャブルボオドをして遊んでいれば、暑さなど、想ってもみない、楽しさで充実した時間でした。
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- 1946, 海野十三, 四次元漂流:
- そうそうあの人はよくあの裏手の空地にある大きな銀杏の樹の上にのぼって昼寝していることがあったわよ。
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- 1947, 原民喜, 氷花:
- 新びいどろ学士は蒸殺しになりさうな板の上で昼寝と読書の一夏をすごした。
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- 1948, 太宰治, グッド・バイ:
- 「きょうはね、ちょっと重いものを背負ったから、少し疲れて、いままで昼寝をしていたの。
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- 1952, 正岡容, わが寄席青春録:
- いよいよ私は恐縮し、たとえ昼寝をしてなりとも朝は師匠より早く、夜は師匠より遅く寝るべきであると、元来私の十五歳からの友だちだからさっそく三木男君を呼びつけて厳談に及ぶと、しばらく黙ってジーッと聞いていた同君、やがてのことにムックリあの白い兎に似た顔を持ち上げると、とたんに言ったね。
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- 1953, 佐藤垢石, 河童酒宴:
- 明治になつてから越後国の小千谷町の地先の磧へ河童が昼寝に上つてきて、里の子供等に捕つたことがある。
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- 1955, 三好十郎, 樹氷:
- 南方あたりじゃ戦争なんかしねえで、芋を掘って昼寝してるそうだぜ。
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- 1956, 久生十蘭, 奥の海:
- 金十郎はおそれ畏み、さっそくお館に推参すると、中納言は昼寝でもしていたのだとみえ、気だるそうなようすで、影のようにうそうそと、廊ノ間へ出て来た。
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- 1959, 北大路魯山人, 小生のあけくれ:
- 早寝、遅起き、昼寝好き、八時間以上十二時間は寝る。
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