Japanese citations of 激情

  • 1882, 石川啄木, 渋民村より:
    誰か彼を以て激情のために非運の最期を遂げたる一薄倖児と云ふ者あらむや。
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  • 1917, 豊島与志雄, 生あらば:
    凡て卑俗なもの、激情的なもの、混濁のうちに醸される好奇なもの、そんなものが彼の頭をぼんやりさし、彼の頭の中にもやもやとして熱りを立ち罩めさした。
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  • 1919, 和辻哲郎, 古寺巡礼:
    従ってそのねらい所が、深い内部的な、感情にある場合には、恐るべく立派な芸術品になるが、それに反して外面的な滑稽味や、醜い僻や、物欲に即した激情などにある場合には、あまり高い芸術的価値を感ぜしめない。
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  • 1920, 福士幸次郎, 展望:
    今この『太陽の子』初期の甘やかな感傷と『惠まれない善』の荒い激情とを、抒情詩主義時代と現實主義時代との二段に變遷し來つた私の詩的閲歴の二期とすれば、最後のクラシツクの調を帶び來つた現在は、その第三段の變化たる古典主義時代とも稱すべきもので、この詩集は即ちこの私の作風上の變遷に應じて、三部に分けたものである。
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  • 1923, 萩原朔太郎, 青猫:
    それは感覺でない、激情でない、興奮でない、ただ靜かに靈魂の影をながれる雲の郷愁である。
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  • 1927, 小酒井不木, 稀有の犯罪:
    仙波は甚だ気が短かい性分でして、だからこそ、一時の激情に駆られて、久しく親密にしていた箕島を殺したわけですが、京山が甚だしく悄気かえっているのを見ると、先ず自分から落ついて、京山をなぐさめるより外はありませんでした。
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  • 1928, 海野十三, 空中墳墓:
    泣きださんばかりの激情が辛うじて堰きとめられていることが、彼の痙攣する唇から読みとれた。
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  • 1929, 薄田泣菫, 桜の花:
    張りきつた恋愛の激情には、子女の繁殖など思ふ余裕はありません。
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  • 1930, 牧野信一, R漁場と都の酒場で:
    私は、この展望室にゐる時は云ふまでもなく、細君と共に食卓を囲んでも、納屋の連中と共に会議に列席しても、村の酒飲連とマメイドで乾盃してゐる時でも――たゞ、其処が室内でさへあれば、それが木馬の腹の中のやうに、はつきりと、そのやうに思はれ、「シノン物語」の中の数々の木馬の腹の中の場面が聯想され、恍惚状態が次第に激情の煙りに巻き込まれて、何時か自身が兵士シノンにその身を変へてしまふのであつた。
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  • 1931, 佐藤紅緑, 少年連盟:
    こう思うと、一時の激情にかられて、四人を除名したことが、深くくいられてならなかった。
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  • 1934, 菊池寛, 貞操問答:
    前川は、今まで抑えに抑えて来た激情が、一時に溢れ出して、前後不覚になると立ち上って、壁によりかかっていた新子をしっかりと、自分の方へ抱き寄せた。
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  • 1935, 徳田秋声, 仮装人物:
    葉子は途切れ途切れに言って、激情に体を戦かせていた。
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  • 1937, 岡本かの子, 母子叙情:
    木の芽のような軟い心と、火のような激情の性質をもった超現実的な娘が、これほど大きくなったむす子を持つまでに、この世に成長したのは不思議である。
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  • 1938, 小栗虫太郎, 方子と末起:
    というよりも、おそらく一時の激情から醒め娘の死体を見、はっと、我にかえったときの衝撃であろうか、それなり、手足もうごけず口も利けず、ただ見、聴くだけの屍のようになってしまった。
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  • 1939, 金史良, 光の中に:
    それなら一時の感傷にせよ激情にせよ「俺は朝鮮人だ、朝鮮人だ」と喚いているおでん屋の男と、貴様は一体何が違うと云うのだ。
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  • 1940, 三木清, 哲学入門:
    「ひとは愛するもののほか知らない、知識がより深く、より完全になるべきであるならば、愛、いな激情は、より強く、より烈しく、より活発にならねばならぬ」、とゲーテも書いている。
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  • 1946, 織田作之助, それでも私は行く:
    しかし、嫉妬という人間の持っている情熱の中でもっとも激しいかも知れない、この激情は、ややもすれば――というよりむしろつねにこのような自虐へその人間を追いやるものなのだ。
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  • 1948, 坂口安吾, 出家物語:
    明るい電燈の下で、平気で裸体を見せて一枚一枚ゆっくり寸の足りないシャツみたいなものをつけるなどとは、たしなみのないことだけれども、そうかと思うと、遊びに就ては、娘のようにウブで激情的であった。
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  • 1951, 宮本百合子, 美しき月夜:
    何か惨酷な、血みどろな、プンと鼻を突く嗅い、自暴自棄な、死ぬに極ってらあというような心持、その死をフフンと他人事のように嘲笑してやりたいような気分、あらゆる激情が、この刹那、彼の見開いた魂の絶壁の際でこんがらかった。
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