Japanese citations of 皆目

  • 1897, 清水紫琴, 今様夫婦気質:
    お守り役も御自身に、乳母と老媼はお払筥、人二人減らすとして見ると、よし十何円の奥様のお月給それは皆目這入らぬとしたところで、お身のまはりの張も要らず、御交際費も皆無となる、その上にもまた世帯の費用、主婦自分が立働くと、下婢にさすとは二割の相違。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1906, 泉鏡花, 春昼:
    何処の生れだか、育ちなのか、誰の娘だか、妹だか、皆目分らんでございます。
    Doko no umare da ka, sodachi na no ka, dare no musume da ka, imōto da ka, kaimoku wakaran de gozaimasu.
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1910, 加藤弘之, 進化學より見たる哲學:
    井上博士曰以上段々論じ來つたやうな譯であるから進化論に就ては必ず先づ意思といふものを必要條件として研究せねば十分でない、此意思といふものの側から行くと即ち目的的といふことになる人間も動物も植物も皆目的的に働くのである、人間の道徳の事でも凡て意思が目的的に働くので完全に達するのである、凡て目的なしの行爲といふものは狂者の外にはない、而して其目的は必ず宇宙の活動から出て來るのである、哲學では必ず左樣に論究せねばならぬ、そこが即ち哲學の必要なる所である云々。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1911, 夏目漱石, 道楽と職業:
    言い換えると自分の商売がしだいに専門的に傾いてくる上に、生存競争のために、人一倍の仕事で済んだものが二倍三倍|乃至四倍とだんだん速力を早めておいつかなければならないから、その方だけに時間と根気を費しがちであると同時に、お隣りの事や一軒おいたお隣りの事が皆目分らなくなってしまうのであります。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1912, 夏目漱石, 行人:
    「私は御覧の通り眼を煩って以来、色という色は皆目見えません。
    Watashi wa goran no tōri me o wazuratte irai,-iro to iu iro wa kaimoku miemasen.
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1914, 上司小劍, 天滿宮:
    この村へは一年に一度か二度ほどしか來ることのない、變な帽子を被つた電報配達人が、松原の入口を小走りに入つて來たので、村の人達は皆目を欹てた。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1916, 夏目漱石, 明暗:
    第二にそれを書いた人と小林との関係がどうなっているのか皆目解らなかった。
    Daini ni sore o kaita hito to Kobayashi to no kankei ga dō natte iru no ka kaimoku wakaranakatta.)
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1917, 高浜虚子, 漱石氏と私:
    今まで世間と殆んど没交渉であった『ホトトギス』は、原稿料の相場というようなものは皆目承知しなかった上に、四、五人の社員組織でやっていた窮屈な制度のもとにあっては、にわかに『ホトトギス』を世間体の雑誌に改革して競争場裡に打って出るというようなことは仲々難かしかった。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1918, 芥川龍之介, 邪宗門:
    いや、現に一時は秀才の名が高かった菅原雅平とか仰有る方も、この御姫様に恋をなすって、しかもその恋がかなわなかった御恨みから、俄に世を御捨てになって、ただ今では筑紫の果に流浪して御出でになるとやら、あるいはまた東海の波を踏んで唐土に御渡りになったとやら、皆目御行方が知れないと申すことでございます。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1919, 芥川龍之介, 妖婆:
    やれ、看護婦になっているのを見たの、やれ、妾になったと云う噂があるの、と、取沙汰だけはいろいろあっても、さて突きつめた所になると、皆目どうなったか知れないのです。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1920, 有島武郎, 卑怯者:
    取って返しはしたものの、どうしていいのかその子供には皆目見当がつかないのだ、と彼は思った。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1923, 有島武郎, 親子:
    彼は五年近く父の心に背いて家には寄りつかなかったから、今までの成り行きがどうなっているか皆目見当がつかなかったのだ。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1928, 林芙美子, 放浪記(初出):
    何と云う救いがたなき女達だろう、何がおかしいのか、皆目尻に冷嘲を含んで私が消えたら、一どきに哄笑しそうな様子だった。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1930, 小出楢重, 油絵新技法:
    極く安らかに玉の様な子供を産み落したと云う例は、皆目無いのである。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1931, 坂口安吾, 霓博士の廃頽:
    すると――魂がなくなつてゐる! 彼は慌てて胃嚢を探しはじめるのであつたが、次第に苛立たしげに狼狽を深めて自分の耳を引つ張つたり舌を出して撮んだりポケットを探したり靴を脱ぐとガタガタ揺さぶつたりしてゐるうちに、皆目見当を見失つてワア――落胆して口をパクパク言はせてゐるが、遂ひに猛然として気狂ひのやうに部屋一面を走り初め、空気の中から彼の魂を握み出さうとして激しく虚空を掴むのであつた。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1932, 沖野岩三郎, バークレーより:
    だが時としては皆目見当のつかない人もある。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1933, 牧野信一, 心象風景(続篇):
    何しろ寒中のことで、一方では粘土が濡らしても/\も氷つてしまひさうだし、そちらはそちらでモデル君が何処へ雲がくれをしてしまつたのか皆目見当がつかないし、それこそ八方に手わけをして、まるで拐帯犯人を探すやうな騒ぎでしたわよ。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1934, 牧野信一, 病状:
    「R叔母来りて、先日送られしものゝRの行衛皆目不明にて未だ会はざりしといふ。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1935, 横光利一, 上海:
    だけど、ここではここで、またこれからどうして生活していっていいのか皆目見当がつかないんでしょう。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1936, 狩野亨吉, 天津教古文書の批判:
    人物に關しては、長慶天皇を除き奉り、外の登場者は五十六人共皆目分らない。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1937, 久生十蘭, 魔都:
    泣き出しそうになって地図を検べて見たが、どれがどの道に相当するものやら皆目見当がつかない。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1938, 坂口安吾, 探偵の巻:
    かくして怪しげな三人連れがそれからの三日間、不良少女をあれからこれへと戸別訪問したのだが、皆目手掛りがない。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1939, 久生十蘭, 墓地展望亭:
    キャンヌ――ジャン・レ・パン――アンチーブ、とその辺まではどうやら追蹤することが出来たが、その先は皆目手がかりがなかった。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1940, 関根金次郎, 本因坊と私:
    その頃本因坊は既に名人だつたが、私はまだ八段で、名人になれるかどうかも皆目判らない時分さ。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1941, 田畑修一郎, 医師高間房一氏:
    それも、入口に立つてみると、ひどく用心堅固な感じの、こんなに周囲が畑ばかりで覗きこむ人だつてある筈がないのに、絶えず閉め切つた太格子の二枚戸が見えるだけで、内側の様子は皆目判らないやうに出来てゐた。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1942, 海野十三, 暗号音盤事件:
    日本人の名誉に拘るとはいかなる事件が起きたのか、私には皆目呑こめない。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1944, 水野葉舟, 言文一致:
    何か一つ書いて見たいとは思つたが、元来の文章下手で皆目方角が分らぬ。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1945, 海野十三, 地球発狂事件:
    どこから手をつけてよいか皆目わからないのだ。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1946, 坂口安吾, 戦争と一人の女:
    語られてゐる言葉に真実がこもつてゐるのか皆目見当がつかなかつた。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1947, 北大路魯山人, 現代茶人批判:
    あえて十職にかぎらず、何職人であろうとも二百年も三百年も経過した昔に遡り、腕が違うの、心得が不純だの、情熱が足りないの、魂が入っていないのといわれてみたとて、いわれる方の今の作人では一体全体なんのことやら皆目掴みようも判じようもなく、ただ相手の顔を打ち眺めている以外挨拶のしようにも困るわけであろう。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1950, 坂口安吾, 街はふるさと:
    ともかく学問を身につけた人間が、論理的なところを皆目失って行動しているようでは、身の終りというものだ。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1951, 宮本百合子, お久美さんと其の周囲:
    徐々陰って来た日影は茂った大柄な葉に遮られて涼しい薄暗さを四辺一杯に漂わせて、うねうねと曲りくねった列に生えて居る其等の幹と支柱とを隙して見る、向うの斜面の草地、すぐそばの菜園等が皆目新らしくお久美さんを迎えた。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1952, 相馬愛蔵, 私の小売商道:
    その時三十人ばかりが中毒し、その店は警視庁管下でも、模範的な衛生設備をしていると自他ともに許していた店なので、いろいろ研究して見ても何が中毒を起したか皆目分らなかった。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1953, 橘外男, 棚田裁判長の怪死:
    棚田判事の事件は、検察当局でも取調べを急いでいるであろうが、今もって原因の推測が皆目つかぬには、困っている。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1954, 坂口安吾, 裏切り:
    しかし小夜子サンに残してやった様子もないのでちょッと変だなと思いましたが、あのバカにはマゴコロからの惚れたハレたが皆目ないのは確かですから、むしろこれもサバサバして風流にかなうオモムキもあり、またこれでオレも小夜子サンにヤキモチやいて金銭の恨みを結び、時に悪夢にうなされる心配もなくて安心だと考えたりしたのです。
    (please add an English translation of this quotation)
  • 1955, 小林一三, アーニイ・パイルの前に立ちて:
    私のような皆目、外国語が判らない老人においてすらも、進駐軍のラジオを聴いていると音楽は勿論のこと、そのすべてのものを受入れられて愉快である。
    (please add an English translation of this quotation)