Japanese citations of 真価

  • 1906, 夏目漱石, 草枕:
    虚栄心を挫くのは修養上一種の方便かも知れぬが、何も己れの真価以下の顔を見せて、これがあなたですよと、こちらを侮辱するには及ぶまい。
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  • 1907, 和辻哲郎, 霊的本能主義:
    「自己」を誤解されまじとするは恕す、「自己」を真価以上に広告し、すべての他人を凌駕し得たりと自負するに至ッては最も醜怪、最も卑怯なる人格の発露である。
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  • 1911, 柴田流星, 残されたる江戸:
    八百善の料理に一汁二菜の真価を解するに至らば、江戸ッ児の気分――その趣味をも了解するはいと容易なこと、かくてぞ吾儕は残されたる江戸趣味を人々と共に保護し、やがては再興をも図ろうと思うもの、さらば八百善料理の今も存するは、江戸ッ児にとってこの上もない僥倖なのである。
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  • 1918, 寺田寅彦, 物理学実験の教授について:
    そのうちに生徒の方でも実験というものの性質がだんだん分って来ようし、教員の真価も自ずから明らかになろうと思う。
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  • 1921, 長谷川時雨, 一世お鯉:
    千金の壺だといっても、その真価を知らぬものには三文にもあたいしない代物としか見えない。
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  • 1924, 芥川龍之介, 僻見:
    もし蒹葭堂コレクシヨンの当代に与へた恩恵の外に、巽斎の真価を見出さうとすれば、どうしても是等の作品に――少くともちよつと前に挙げた一幀の春山図に立ち帰らなければならぬ。
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  • 1926, 穂積陳重, 法窓夜話:
    我輩がその理由を尋ねると、その工場主は嘆息して「自分の社の名を出したいのは山々であるが、和製は即ち劣等品との世間の誤解が未だ去らぬため、銘を打てばあるいは劣等品と思われて売価が低落し、もしまた優等品と認められても、これは偽銘を打って売出すのではないかと疑われる恐があるので、世間に真価を認められるまで、遺憾ながら無銘にして置きます」と言われた。
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  • 1929, 新渡戸稲造, 自警録:
    「汝は人の前に立ち、少しでもよく自分を思われたいと、自分の真価以上に看板をかけたい了簡なるか、相手の人に褒められたいと思っておりはせぬか、あるいは何か求むる所があって、相手の人にお世辞を述べるか、あるいは妄りに自分を卑下して、なさずともよいお辞儀をなし、みずから五|尺四|寸の体躯を四尺三尺に縮め、それでも不足すれば、ミルトンの悪魔同然に鳥なり蛇なり蛙なりの程度まで一身を引下げておりはせぬか」。
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  • 1930, 高楠順次郎, 東洋文化史における仏教の地位:
    字形でいったならば中央アジアで掘り出した物と文字の形が似ているから古物だということを何人も信じますが、日本だけにあった時にはこれはいつごろの物かも分らないし、真価も知れないのであります。
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  • 1934, 喜田貞吉, 法隆寺再建非再建論の回顧:
    またこの絶対的信用価値ある史料の真価を解せずして、実物上の研究より組立てられたる一切の非再建説は、ことごとく妄想に過ぎざるものである事を断言する。
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  • 1936, 宮本百合子, マクシム・ゴーリキイの発展の特質:
    その晩年に於て彼が「過去に於て勤労階級の有能な才能は実にしばしば彼らを低く止めて置くところの力に奉仕させられた」と実感をこめて云っている短い言葉の中には、卓抜な人間的・文学的才能にめぐまれつつ民衆の一人として経て来なければならなかったゴーリキイの、すべての時代的な真価と誤りとが率直に含蓄されていると思う。
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  • 1938, 中谷宇吉郎, :
    少数の学者の研究が如何に進んでも、その研究が一般の人に普及されなければその真価を発揮したことにはならぬ。
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  • 1942, 石原莞爾, 最終戦争論・戦争史大観:
    人類が心から現人神の信仰に悟入したところに、王道文明は初めてその真価を発揮する。
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  • 1944, 伊丹万作, 映画と民族性:
    この種のものは芸術国日本の真価を傷つけこそすれ、決して真の意味の政治に役立つはずはないと私は今にして確信する。
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  • 1945, 太宰治, お伽草紙:
    おれの生きてゐる間、おれの真価の発揮できる時機が来るかどうかわからぬが、しかし、その時が来たら、おれだつて大いに働く。
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  • 1946, 織田作之助, 可能性の文学:
    それに東京棋師の面目も賭けられている、負けられぬ対局であったが、坂田にとっても十六年の沈黙の意味と「坂田将棋」の真価を世に問う、いわば坂田の生涯を賭けた一生一代の対局であった。
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  • 1949, 坂口安吾, 現代忍術伝:
    毎月一回の食焔会など、そんなものは有りゃしないが、彼らにとって、言葉というものは無を実在せしめるところにのみ真価があるのである。
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  • 1954, 北大路魯山人, フランス料理について:
    日本料理の真価というものがどこにあるか、ぶつかったこともなければ、気にもんだこともなさそうなひとたちばかりである。
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  • 1956, 小金井喜美子, 鴎外の思い出:
    『馬琴日記|鈔』の跋文にも、馬琴に向って、君の真価は動かない、君の永遠なる生命は依然としている、としています。
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