Japanese citations of 蒼い

  • 1898, 国木田独歩, 河霧:
    『豊吉が何をしでかすものぞ、五年十年のうちにはきっと蒼くなって帰って来るから見ていろ。
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  • 1899, 泉鏡花, 黒百合:
    あるいは銀色の蒼く光るものあり、また銅の錆たるものあり、両手に抱えて余るほどな品は、一個も見えないが、水晶の彫刻物、宝玉の飾、錦の切、雛、香炉の類から、印のごときもの数えても尽されず、並べてあった。
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  • 1907, 若山牧水, 姉妹:
    大氣は澄んで、蒼い空を限つて立ち並んで居る峯々の頂上などまでどつしりと重みついて來たやうに見ゆる。
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  • 1908, 夏目漱石, 文鳥:
    顔を洗いながら裏庭を見ると、昨日植木屋の声のしたあたりに、小さい公札が、蒼い木賊の一株と並んで立っている。
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  • 1909, 長塚節, おふさ:
    透徹せる蒼い天は此の青年の如き地上の草木を保護するためガラスの蓋を掩へるが如く見える。
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  • 1912, 森鴎外, 鼠坂:
    杯盤の世話を焼いているのは、色の蒼い、髪の薄い、目が好く働いて、しかも不愛相な年増で、これが主人の女房らしい。
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  • 1918, 室生犀星, 抒情小曲集:
    美しい少年の友だちらは、ある時は、詩のことを話したりして、熱い握手や接吻をしたり、蒼い日暮の飽くことをしらない散歩をしたりしてゐた。
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  • 1919, 菊池寛, 納豆合戦:
    私達も、吉公と同じ悪いことをしているのですから、みんな蒼くなって、ブルブル顫えていました。
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  • 1920, 島田清次郎, 二人の男:
    窓際からは、本郷の高台の深い樹木の茂みや折り重なつた建築の断層が蒼い天の下に見え、窓先の無果樹の大きい葉がそれらの視望をゆすぶつてゐた。
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  • 1921, 芥川龍之介, 俊寛:
    すると少将は蒼い顔をしたまま、邪慳にその手を刎ねのけたではないか? 女は浜べに倒れたが、それぎり二度と乗ろうともせぬ。
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  • 1924, 牧野信一, 明るく・暗く:
    緑の深い細い葉と、紅色の蕾の球とが、窓を覆ふやうに拡がつて、それらの隙間から覗かれる晴れた海と空の蒼い平板に鏤められたやうに浮きあがつて見えた。
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  • 1925, 国枝史郎, 大鵬のゆくえ:
    こう口へ出して呟いた頃には、暮れるに早い秋の陽がすっかり西に傾いて、諸所に立っている森や林へ夕霧が蒼くかかっていた。
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  • 1926, 小酒井不木, 人工心臓:
    即ち平易な言葉でいうならば、恐ろしい感じが起ったから髪が逆立ち顔が蒼くなるのではなく、髪が逆立ち顔が蒼くなるから恐ろしい感じがするのだという、いわば極端な機械説なのです。
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  • 1927, 岡本綺堂, 女侠伝:
    かれらの顔をいちいち睨みまわして、県令は大きい声で、貴様たちはけしからん奴らだ、人殺しをしてその儘に済むと思うか、証拠は歴然、隠しても隠しおおせる筈はないぞ、さあまっすぐに白状しろと頭から叱り付けると、土工らは蒼くなってふるえ出した。
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  • 1928, 黒島傳治, 氷河:
    彼等は、人が這入って来るたびに、痩せた蒼い顔を持ち上げて、期待の表情を浮べ、這入ってきた者をじっと見た。
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  • 1929, 渡辺温, ああ華族様だよ と私は嘘を吐くのであった:
    私は大勢の女の一等後の方で、蒼い顔をして外っぽを向いている、痩せた女を指してしまった。
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  • 1930, 平林初之輔, アパートの殺人:
    室の広さはまちまちで、借り手には、朦朧会社の事務所もあれば、某国大使館の書記官も居り、家族五人位で暮らしている者もあれば、独身者の会社員もあり、ダンサーが二人で一室を借りているのもあれば、終日|蒼い顔をしてペンを走らせている無名作家もあるといった具合。
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  • 1934, 甲賀三郎, 血液型殺人事件:
    不意に枕許で呼ぶ声がするので、ひょいと頭を上げると、下宿のおかみが蒼い顔をして、疑り深かそうな眼で、じッとこちらを見詰めている。
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  • 1935, 宮本百合子, 日記:
    高いところの金網ばりの窓に朝の清げな光があるが、其〔三字伏字〕の内は〔七字伏字〕人いきれと影とでどす暗く澱んで、〔二十三字伏字〕蒼い髪の伸びた男の顔と体とが〔五字伏字〕見えるのである。
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  • 1936, 大阪圭吉, 三狂人:
    それを「あづま」の女将から聞込んだ警官の報告を受取ると、司法主任は蒼くなって立上った。
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  • 1937, 海野十三, 棺桶の花嫁:
    彼が会社から帰ってみるといつもは子供のように胸にとびついてくる筈のお千が、迎えに出もせず、小屋のなかに蒼い顔をしてジッと座っているのを発見した。
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  • 1938, 蘭郁二郎, 脳波操縦士:
    土埃りの、どんよりと濁った層を通してのみ太陽を見、そして都会特有のねっとりとした羊羹色の夜空を悪んでいた私には、ここに移って来ると共に、南国の空とはこんなにも蒼いものであるか、と半ばあきれてしまった位であり、其処に飛ぶ、純潔な綿雲に、健康な幻想を覚えるからであった。
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  • 1939, 堀辰雄, ほととぎす:
    私がそれについては何んとも言わずに黙っていると、少女も心もち蒼いような顔をしながら、しかし車上の殿なんぞは見もしなかったような風をしていた。
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  • 1940, 織田作之助, 放浪:
    しかし、筍をさかさにした形のアイスクリンの器をせんべいとは知らず、中身を嘗めているうちに器が破けてはっとし、弁償しなければならぬと蒼くなって嗤われるなど、いくら眼をキョロキョロさせていても、やはり以後かたくいましめるべき事が随分多かった。
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  • 1941, 徳田秋声, 縮図:
    それというのも、銀子自身が人の家に奉公して、餒じい思いをさせられたことが身にしみているので、たとい貧しいものでも、腹一杯食べさせることにしていたからで、出先の料亭から上の抱えが、姐さんへといって届けさせてくれる料理まで子供たちの口には、少しどうかと思われるようなものでも、彼女は惜しげもなく「これみんなで頒けておあがり」と、真中へ押しやるくらいにしているので、来たての一ト月くらいは、顔が蒼くなるくらい、餓鬼のように貪り食べる子も、そうがつがつしなくなるのであった。
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  • 1942, 中島敦, 狼疾記:
    電燈の工合で、白い珠の一つ一つが、それぞれ乳色に鈍く艶を消したり、うす蒼く微かな翳をもったりして、並んでいる。
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  • 1946, 今井邦子, 伊那紀行:
    山國の春らしい透明な空氣を透して明るく晴れ渡つた空は、したゝるばかりに蒼く輝いてゐる。
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  • 1947, 太宰治, トカトントン:
    いまはもう、胸がどきどきして顔が赤らむどころか、あんまり苦しくて顔が蒼くなり額に油汗のにじみ出るような気持で、花江さんの取り澄まして差出す証紙を貼った汚い十円紙幣を一枚二枚と数えながら、矢庭に全部ひき裂いてしまいたい発作に襲われた事が何度あったか知れません。
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  • 1950, 三好十郎, 夜の道づれ:
    古い背廣にヨレヨレのレインコートを着て、飲みつづけた酒の醉いのさめかけた、デロリとした蒼い顏が鳥打帽の下からのぞいている。
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  • 1953, 神西清, 地獄:
    おづおづと小椅子にかけると、何やら乱暴な字体で横文字を書いてゐた手をやめて、くるりと向き直り、「相変らず色が蒼いなあ」と、にこりともせずに言ふ。
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