Japanese citations of 辟易

  • 1898, 徳冨蘆花, 小説 不如帰:
    さて佐世保出帆後は連日の快晴にて暑気燬くがごとく、さすが神州海国男子も少々辟易、もっとも同僚士官及び兵のうち八九名日射病に襲われたる者有之候えども、小生は至極健全、毫も病室の厄介に相成り申さず。
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  • 1902, 正岡子規, 病牀六尺:
    しかし芭蕉はそれほど臭気に辟易はしなかつたらうと覚える。
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  • 1904, 井上円了, 西航日録:
    チベット人のダージリンにあるものは、その本国にあるもののごとくはなはだしからざるも、なお不潔の点につきては、余もやや辟易せり。
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  • 1906, 石川啄木, 雲は天才である:
    恐らく余程石本の異彩ある態度に辟易してるのであらう。
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  • 1908, 夏目漱石, 坑夫:
    手を出そうかなと思う矢先へもって来て、急に黒い斑点が、晴夜の星宿のごとく、縦横に行列するんだから、少し辟易してしまって、ぼんやり皿を見下していた。
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  • 1910, 鵜殿正雄, 穂高岳槍ヶ岳縦走記:
    昨日で辟易した幔幕、またぞろ行く手を遮る、幕の内連が御幕の内にいるのは当然だ、と負け惜みをいいつつ、右に折れ、巉岩にて築き上げた怪峰二、三をすぎ、八時、標高三千十四米突の一峰に攀じて腰を据える。
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  • 1915, 岡本綺堂, 二階から:
    しかし例の大虎列剌が流行した時には、江戸児もこれには辟易したと見えて、小春とも梅川とも名付親になる者がなかったらしい。
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  • 1917, 高浜虚子, 漱石氏と私:
    朋友その朋友と共に我輩が生活を共にする所の朋友姉妹の事に就ては前回に少しく述ぶるところあったが、この外に我輩がもっとも敬服しもっとも辟易する所の朋友がまだ一人ある。
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  • 1923, 木暮理太郎, 皇海山紀行:
    秩父の雲取山から金峰山に行く位の積りで、袈裟丸山から奧白根まで縦走して見ようかと思ったが、この笹ですっかり辟易してしまった。
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  • 1924, 牧野信一, 父を売る子:
    彼は、またあの厭な親族達に会ふことを思ふと辟易したが、此度は急に一家の主人公になつたのだから、ひとつ大いに威厳を示してやらうなどゝ思ひ、その日に云ふべき言葉の腹案と態度のことを今から夢想してゐる。
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  • 1925, 豊島与志雄, 公孫樹:
    砂利から立つ湯気と、アスファルトの濛気と、釜の下から出て来る火気とに、私は少し辟易して、四五歩しざりながら、あたりを振返ってみた。
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  • 1926, 中原中也, 夭折した富永:
    そして今彼に対面する者は、彼をただ友人とのみ考へるなら、余りに肉親的な彼の温柔性に辟易しなければならない破目になるだらう。
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  • 1927, 芥川龍之介, 文芸的な、余りに文芸的な:
    それは又ゴルキイを辟易させるのに足るものだつた。
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  • 1930, 戸坂潤, イデオロギーの論理学:
    ただ厳密な論理の煩雑に辟易し又は夫に耐えられない人々か、それでなければより実際的、より実践的な火急の問題を持つ人々かが、このような感情の論理を用いるのであると考えられる。
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  • 1931, 坂口安吾, 竹藪の家:
    大いなる口を開いて、かの悪魔をも辟易させる呪の言葉を吐く度に、彼等は舌に同じくまろいポツポツを受けて、太い癇癪の波と一緒に腸深く呑み込むであらう。
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  • 1934, 菊池寛, 貞操問答:
    」準之助は、圭子の絶間ない饒舌に、少し辟易しながら、シガーに火を点じた。
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  • 1935, 岸田國士, 愛妻家の一例:
    一度は友達になるが、その友達は、大概いつかは彼のひねくれ根性に辟易し、彼の方でも、その友達のどこかに愛想をつかして、どちらからともなく離れて行つてしまふ。
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  • 1936, 海野十三, 地球盗難:
    巨大甲虫はお美代の死にもの狂いの勢いに辟易したものか、そのまわりを遠く離れてグルグルと二三度飛び廻っていたが、やがて次第に遠のいて、どこともなく飛び去ってしまった。
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  • 1937, 寺島柾史, 怪奇人造島:
    さア、われとおもわん者は、来い!」縮毛の大男は、仁王立ちになって、四辺を睨め廻したが、この勢いに辟易してか、誰もあとに続くものがない。
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  • 1939, 泉鏡花, 薄紅梅:
    何しに来たこの女、何を泣いたこの女、なぜ泣かせたこの女、椎と青紫蘇の葉に懲りて、破毛布に辟易したろう。
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  • 1940, 田中英光, オリンポスの果実:
    次の年、徴兵検査で、本籍のある高知県に帰ったとき、特殊飲食店を開いている伯父さんから商売柄の廃娼反対演説を聞いたあと、こっちも一杯機嫌で、あなたの話をほのめかすと、伯父さんは、「熊本秋子さんなら直ぐ、隣町の床屋の娘さんじゃきに、伯父さんもよう知っとるし、本当におまはんがその気なら、じき話を決めるがのうし」と大乗気になられ、却って此方が辟易しました。
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  • 1942, 中島敦, 斗南先生:
    その上その将棋というのが、彼よりも一枚半も強いくせに、弱いものを相手にしていじめるのを楽しむといった風で、いつまでたっても止めようとはいい出さないのであるから、これにもいささか辟易せざるを得なかったのである。
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  • 1943, 鷹野つぎ, :
    重い症状で黙って窓ばかり見ているような病人の取扱いには、小谷さんを辟易させるものがあったに相違なかった。
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  • 1945, 太宰治, 惜別:
    周さんは私と同様、キリストの隣人愛には大いに敬意を表し、十字架につかざるを得ない義人の宿命を仰恋する事に於いても敢えて人後に落ちるものでは無かったが、しかし、どうも、教会の職業的なヤソ坊主の偽善家みたいな悲愴な表情や、またその教会に通う若い男女のキザに澄ました態度に辟易して、仙台の市中にずいぶんたくさん散在している教会堂にも、もっぱら敬遠の策をとり、殊に周さんなどは、ヤソのヤソくさきは真のヤソに非ず、と断じ、支那の儒者先生たちが孔孟の精神を歪曲せしめたように、キリストの教えも、外国のヤソ坊主たちが堕落せしめてしまったのだ、とさえ語っていた事があった。
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  • 1946, 織田作之助, それでも私は行く:
    弓子は辟易しながら、まるで自分がリードしているかのように、ホールの隅の方へひっ張って移って行った。
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